2016.08.03
つい最近、タイトルにあるような珍しい事例の相談を受けました。
相談者は日本の70代の男性です。この男性がスポンサーとなりフィリピンの知り合いである19歳の大学生を日本へ招待することになりました。
このため、男性が招聘人となり旅行費用を負担する旨の証明をして招聘理由書・滞在予定表・身元保証書等必要書類を添えて在マニラ日本大使館に知人訪問・観光目的の短期滞在ビザを申請しました。
大使館からは無事15日間の短期ビザが発給され、予定通り大学生は日本へ出発するためマニラのニノイアキノ国際空港の出国エリアで入管の出国審査を受けました。
当然、何事もなく出国できると思っていたところ、入管の担当者はパスポートの記載内容・日本訪問理由など次々と質問し、大学生が戸惑っていると審査の別室へとつれていかれてしまいました。
別室で戸惑いながら大学生は担当者の質問に受け答えしましたが、長いインタビュ-のあげく担当官はあなたは出国できませんと簡単な印刷物のメモを渡して、出国不許可を宣告しました。
当然、大学生はパニックになり招聘人の日本人に連絡をとりましたが、どうすることも出来ず日本訪問をあきらめざるを得ませんでした。
数日後、招聘人より調査の依頼を受けて何故不許可になったか、今後どうしたらよいのかを調べることになりました。
日本大使館の発行した短期ビザを所持していた訳ですから、何ら問題が無いと思われますので招聘人の抗議文と大学生の質問書を作成して、マニラの入管本庁舎へ当事務所駐在員と大学生本人が理由を文面で回答してもらうため出向きました。
入管事務所へは文書を提出して事情を説明するためと、回答を貰うために二度の訪問をしましたが、結局、期待した文面での明確な回答は得られませんでしたが、簡単なメモと口頭で次のような答えを得ました。
1.出国審査官は入管のガイドラインに沿った対応をしており、決して間違った判断はしていない。
2.出国審査官の質問には、明確に答えて、意に沿わない指摘を受けた時は、自分の意見をはっきり述べること。
3.招聘人がスポンサーであるにしても訪問先の行動プランをしっかり把握し、小遣いとトラブルに対応できるだけの所持金を持って出国すること。
4.この件で迷惑を受けた招聘人と大学生には、残念な結果になったことを深く同情いたします。
この回答を聞いて、文面での回答でなかったことがまず残念であったのと同時に、当初からいだいていた単なる賄賂要求だったのではではなかったかと言う疑念を晴らすことは出来ませんでした。
また、大学生はスポンサーである招聘人任せで、行動プランも審査官に対して充分な説明が出来なかったこと、また所持金もほんの僅かしか持っていなかったことなどから、審査官に就労目的で訪日し、帰国の宛が無いと思われてしまったのかも知れないとも考えられます。
いずれにしろ、入管は自国民に対して疑わしい場合は出国を不許可とする強い権限をもっている訳ですのでこの件のように、ビザがあるからといって充分な準備をせずに渡航しようとすると、出国不許可となってせっかくの計画が無に帰する場合があるということです。
2023.05.23
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